ツール | RPGツクール 2000 |
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ジャンル | アドベンチャー |
作者 | ヒデ、辺境紳士 |
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ちょっと優柔不断な青年アレイドと、その幼馴染で亡国の姫君でもあるティナ。教会の聖術士であるふたりが、帝国の支配下に落ちた故郷へ調査の旅に出るというRPG。かつて暮らした王国領で、ふたりは何を知り、何を感じるのか? 基本的にはシリアスなシナリオなのだが、コミカルでほのぼのとしたシーンも多く、親しみやすい雰囲気だ。多数の登場人物たちの心情が細やかに描写され、物語はさわやかにしめくくられる。
システム面では、独特の成長システムが目を引く。お決まりの「経験値」や「レベル」といった概念はなく、あらゆる場所に隠された「チップ」を手に入れ、それをHPや術の威力などのステータスに、ポイントのように割り振るというものだ。しかも自由に振り直せるので、対峙する敵に合わせて戦略を練る楽しさもある。チップはあらゆる場所で入手できるが、その多くは「見えるが手が届かない」という状態に置かれており、少々頭をひねらないと入手できない。そんな「チップ集め」自体も、このゲームの大きな魅力のひとつになっているのだ。
また、各イベントのために描き下ろされた、力の入ったグラフィックも必見。登場人物たちの表情や心情をダイレクトにプレイヤーに伝え、物語を盛り上げてくれる。
かなりアクの強いツクール作品が目立つ中、本作はプレイ後の余韻も心地いい正統派。シナリオ、キャラクター、システムと、ゲームに必要なさまざまな要素が高水準でまとめられた秀作だ。